多嚢胞性卵巣症候群の症状

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PCOSに関する歴史は案外と古く、1935年にアメリカの産婦人科医Stein and Leventhalが、両側卵巣の多嚢胞性腫大が無月経月経異常(稀発月経(月経周期が39日以上)、無月経)、不妊、多毛、肥満などを呈する症候群としての概念を発表、1949年にふたりの名を冠して「シュタイン・レーベンタール症候群」と命名されました。しかし、それ以前にも、19世紀にはすでに同様の卵巣の形態変化についての症例報告は見られたようです。

症例・症候がわかってくる一方で、原因は依然わからず、卵巣関連にとどまらず、内分泌系(ホルモン)や遺伝子関連なども少しずつ解明されるなかで、現在ではPCOSという呼称でいちおう定着しているようです。

 

PCOSの症候としては、まず、卵巣の所見があげられます。

ネックレスこれは前項「多嚢胞性卵巣症候群とは」でも記したように、卵巣内に排卵できない小さな卵胞がいくつもある状態を指し、超音波断層診断検査ではこれら小さな卵胞が連なったように見えるため「ネックレスサイン」と呼ばれます。これが病名の由来です。

また、卵巣が腫大(大きくなっていること)、あるいは、外側の皮膜が厚くかたくなっている場合もあります。皮膜肥厚については、単に卵胞があるからという理由だけでなく、男性ホルモンの影響もあると考えられています。

次に、月経異常です。

PCOSにおける月経異常としては、稀発月経(月経周期が39日以上)、無月経、無排卵性周期症(月経様の出血はあるが排卵を伴わないため、基礎体温に2相性がみられず、低温の1相性になる)、月経過多、不正出血などが指摘されています。排卵を伴わないので不妊となります。

前項でも整理しましたが、月経はホルモンバランスにより複雑に制御・調整されていますので、ここで記したような症候は、ホルモンになんらかの異常が起きて、その結果として表れているものと考えることができますが、内分泌的にどのようなホルモンバランス異常が起きているかについては、ひとくくりにすることはできません。ただ、ホルモンの周期的な調整機能に異常が起きている、ということは言えます。





さらには、男性化です。

毛深い男性ホルモンであるアンドロゲン(卵巣で作られてエストロゲンの材料になる)が高濃度の状態になり、その影響で、多毛(体毛の増加、毛深くなる)、ニキビ、低音声、クリトリス(陰核)肥大といった現象が表われます。ただし、欧米女性に比べて日本人での発生頻度は高くないと言われています。

 

そして、肥満もPCOSの症候のひとつにあげられます。

因果関係は明らかではありませんが、PCOSには肥満やインスリン抵抗性(膵臓からインスリンが十分に分泌されているにもかかわらず、血糖調節が十分におこなわれずインスリンの反応性が落ちている状態)との関連が指摘されています。PCOSはしばしば高インスリン血症や脂質代謝異常を伴い、これがひいては高血圧、糖尿病、心血管疾患等をまねく恐れがあるため、PCOS治療に際しては減量指導が並行しておこなわれることが求められています。

また、上記のアンドロゲン産生がインスリン抵抗性によって生じるとも言われています。





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