多嚢胞性卵巣症候群の原因

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遺伝PCOS病態解明の歴史は、卵巣の形態変化に着目して、卵巣自体の機能障害ととらえるところからスタートしていますが、視床下部~下垂体~卵巣という内分泌系バランス(「多嚢胞性卵巣症候群とは」を参照)の異常による説明が主流であった時期を経て、近年ではインスリン抵抗性との関連(インスリン抵抗性が肥満につながるのはもちろんですが、PCOSの重要な病態のひとつであり、因子のひとつでもあるアンドロゲン過剰を引き起こしているという指摘)や遺伝といった側面も着目されています。
多毛や肥満などは遺伝的側面からとらえられる徴候でもあります。

 

これまでにも述べてきたように、PCOSの病態やメカニズムについて、少しずつではありますがわかってきつつある、そんな状況でしょうか。





すなわちPCOSとは、排卵障害を伴う月経異常や不妊、卵巣の特徴的な多嚢胞性の形態変化(これが病名の由来)、内分泌系の異常(アンドロゲン過剰、LH(黄体形成ホルモン)高値)、そして多毛などの男性化や肥満といった幅広い症候を呈する、一連の症候群のことを意味します。しかしながら、人種や個人で発現する症候が異なり、必ずしも特徴的な症候を示さない場合も存在し、病態を総括的に規定するのは難しいとも言えます。それぞれの症候に関して、発現するメカニズムが少しずつ解明されつつある部分と、まだまだはっきりわからない部分があり、それらが複雑に関連しあっているのも、PCOSの理解を困難にしている一因かもしれません。

アンドロゲン過剰を例にとってみると、アンドロゲン過剰状態は卵巣内での主席卵胞の成熟を抑制してPCOSの主症候である多嚢胞化を引き起こしますが、なぜアンドロゲン過剰状態が起こるのかということについては、卵巣での働きのなんらかの不調(エストロゲン産生低下等)や下垂体由来、副腎由来のなんらかの原因、インスリン抵抗性の影響、特定遺伝子の介在あるいは肥満によるものといった数多くの指摘があり、きちんとした因果関係(もしくは悪循環?)の解明・特定はできていません。

 

研究PCOSの根本的な原因を特定する段階はいつおとずれるのでしょうか? 何か特定の因子によって引き起こされるのか? それともいくつかの因子が複合的に影響しあって病態が発現するのか? それも残念ながら、はっきりとはわかってはいません。

 

それでも、今後、研究が進んでいけば、発症のメカニズムも次第に解明されていくことは間違いないでしょう。東アジア人種では、アンドロゲン過剰でも多毛とならないケースが多いと言われていますが、なぜそのようなことが起きるのかといったことがわかれば、PCOSの病態解明に少しでも近づくのかもしれません。





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